「だってぇ〜、みんなでお手紙を書く時に、『物』を頼めって…。だから、嘘を書いたの。僕…、サンタさんなら、わかってくれると思っていたのに…。」

と、兼人は本気で残念がっている。

「そうか…、兼人君は待っていたんだな。わかってくれるサンタクロースを。」

俺は、兼人の横まで歩いて彼の頭の上に手を載せた。

「うん。待っていたよ。お兄ちゃんとお姉ちゃんでは無理なの?」

と、兼人が俺を見上げてきた時、

「お姉ちゃんに話してみて…兼人君。」

と、ナデシコは言った。

そのナデシコの言い方は、サンタクロースが子供に話す口調ではなく、実の弟に話す姉の口調に感じた。