「今日はよろしくお願いします葉月さん」


「いえ、こちらこそ、多岐くん」


コイツが多岐隆史ね…
ふーん…世間でいうイケメンってやつね…
まぁ確かに顔はいいけどおにぃには負けるわね…

そして握手をした。


ん…?
何この懐かしい感じ…
おにぃじゃないのに…

私この手…知ってる!?




多岐くんもそう思ったのか、あたしに聞いてきた。


「あのー葉月さん、俺に会ったことあります?」


「いえ、無いけど…多岐くんこそ私に会ったこと…ありません?なんか…握手したとか…」


「ですよね!?やっぱり…」

「なんか…感じますよね…懐かしいみたいな…」


「俺もですよ!!今度一緒にお話しません?俺葉月さんと気ぃ合いそうですよ」

「そうですね。では今度。あ、私の連絡先です。また連絡して下さい。」

よくこんな感じで連絡先交換するからいっつも持ってるの。
それで今渡したのよ。
ただそれだけなのに…


「ええーっ葉月さんすごいなぁ…俺こんなんいつも持ってないですよ…」


すみませんというように多岐くんは頭をかいた。

「あっ…いえ…では撮影頑張りましょうね」


あたしは話を切り上げ、一礼してその場から立ち去った。




な…に?



なんなのっ!?



ちょっと誉められただけじゃない!!



なんでこんなに動揺してるのよっ!?



今までおにぃ以外にはときめいたこともないのに…



あたし…今日大丈夫かな…?



動揺しないでいられる?


赤くなってくる顔を押さえてあたしは楽屋に戻った。