お喋りが過ぎる奴は、たいてい自分に自信がない臆病者だ。
余裕で俺は当て嵌まるんだろうけど、単にポップが売りなだけだと今後も田上さんを騙していこう。
「なあ、田上さん、面白い話教えてあげるわ。あのな、さっきさ、俺のが全然怯んでんの。知らないだろ女子は。男子って気ぃ遣うんだからな。
俺、うん、全然、下手〜って、はは、呆れられたら怖いなぁって。ふはは。そんななったらどうしようって。彼氏って責任重大ならしーよ奥さん。衝撃。
なあ、田上さん、だから待ってくれない?
もうちょっとだけ待って? やっぱ今日クリスマスだけど自信ない。お詫びにプリクラ奢ってやるから延期してよ。」
こっちを見てくれやしないのに、笑顔を決めたまま、俺はくだらない言葉を奏でる。
お願いだ、どうか元気になってくれ。
こんなに健気な彼氏を何分放置プレイすりゃあ気が済むんだろうか。
田上結衣、十六歳。
主な口癖は『ウケる』で、よく耳にするのは『あんたアホじゃん』『ネタです』、
『私ってば美少女らしいよ?』みたいな、つまんないツッコミや面白くないジョーク。
性格はランドセルの時代を神扱いしていて、
上辺のみで友情ぶる生徒を内心見下してる割に、
仲間割れしているグループを見た時は、
悪口を自分の話題にすり替える煩わしいパフォーマンスが趣味な人だ。
なんだろう、昭和ダサい感じ。クラスの平成女子とは器のサイズが異なる。
俺がまあまあ好きになってやってもいい人間だ。



