星空刺繍


ほとんどの人間は高校生になると、恋愛が趣味で、恋人を運命の人だと信じるのが特技で、

痛い性格になる資格を得られるんだと思う。


近藤洋平は田上結衣が大好きだと思いたいだけなんだと思う。

恋愛って勘違いを究めたら純愛に名前が進化するんだと思う。


思う、思う、思う、思い込みが幸せの始まりなんだと思う。

会うを逢うと記述すると同様に、思うを想うと変換するようになったら、高校生プロだと思う。


「うん、オッケー、決めた今日中止な? しません、ふ、あはは、オッケーオッケー、あはは英語。

はは、まああれだ。モテ子は焦らして焦らしてが基本だもんな。うん、その案乗った」

いつもの俺らしく、頑張ってる自体既にゆるくはないが、

比較的ゆるいトークを展開させるのに、田上さんはやっぱり肩を震わせるだけで、

何も面白いツッコミを入れてくれやしなかった。


愉快な会話が切り札なのに、それを否定されたなら、もうどうしたらいいのか分からない。


どうやったら、うちのお姫様は王子様の存在を思い出してくれるんだろうか。

遠慮? 気配り? 配慮? 気遣い?

そんなんじゃない、ただ俺を見てほしい自己チュー彼氏なだけなんだ。