星空刺繍



こんなつもりじゃなかったんだ。

怯えさせたり不安にさせたり、怖がらせたり泣かせるはずじゃなかった。



田上さんはモテる。
飛び抜けて可愛いせいで、友達のノリで近づけても気軽に学外へ誘える奴は少ないも、

女子会ならぬ男子会特有の妄想話で頻繁にヒロインに抜擢されていた。


直接的に唇を奪われたり身体に触られたり、服を脱がされたり強制されたりした訳じゃないんだけど、

間接的に自分の恋人が空想に使用される時点で、なんか不愉快で堪らなくて、

付き合ってるって馬鹿でも分かる首輪として、最初は指輪を買うつもりだったんだ。


でも、実際に売り場へ入ると、独占欲のみだった意識が変わった。

噴水の煌めき、虹の光沢、流れ星の輝度、

夢の輪はどれも幻想的で、

純粋に夫婦のまね事をしたくなった。


結婚をしたいくらい未来まで一瞬に居られる存在でありたくなったんだ。



精一杯の感情を形としてプレゼントをした今日は特別な夜。


どうして、クリスマスにこだわったりしたんだろう。

ありがとうを素直に言いたいのに、真っ赤な顔で喜びを堪える田上さんの姿を見て、

俺は確かに愛を感じたのに。


どうしてあの時、クリスマスだからと、先を急いでしまったんだろう。

田上さんが戸惑っているのが分かっていたのに、どうして――


どうして俺は後悔してしまう?