逃げないように田上さんの腰をきつく足で挟んでいたけれど、
それは今日中にもう一回チャンスを狙っている自分の浅ましさを象徴するようで情けなかったし、
なんかもう泣き止まない田上さんが可哀相になって、少し膝の力を緩めた。
これで本当に今、思春期の少年がベッドの上で可愛い少女に跨がっておきながら、
全くどこも触れていない非スイートな状況が完成した。
こんな奴をチキンと呼ばずに何と罵る?
男子高生の底辺でしかなく、イケメン要素は皆無でダサい。
「…………。」
仮に、俺が同級生の奴らみたいなワイルド脳みそをしているなら、
速攻で彼女の背中へ舌を這わすのでしょうが、
そんな真似はしない知性を兼ね備えた凡人が田上結衣の彼氏らしさなんだと自覚してる。
自分が拒んでからは手を出さずに様子を窺いつつも、ちゃっかり腰を拘束していた盛んな彼氏に、
この色白で華奢な女の子は何を思っていたんだろう?
嫌われたかもしれない、見損なったかもしれない、引いたかもしれない、失望したかもしれない。
なあ、こうやって大袈裟に不安を抱き悩みまくれば、
例の純愛を達成し、無事、神様に許してもらえるのかな?



