ベッドに寝かせた田上さんの上に居る今、
卒業式で三年生の自分たちが桜に背を向ける時のような、
結婚式で親戚一同として生い立ちスクリーンを見つめる時のような、
アニメ最終回で主題歌をバックに主人公が台詞を述べているのを見ている時のような、
文化祭でクラスが優秀賞を貰った時のような、
人生の節目節目で芽生える神聖な喜怒哀楽に値する感情が、
心の底から沸き上がってくるのは何故?
大袈裟じゃなく、日常生活では味わえない気持ちに動揺している。
喉の奥が詰まって息が苦しいし、身体の輪郭が一回り小さくなった気がする。
今を絶望と名付ければ、恋愛論を語り合えば友情が成立する高校生勝ち組の新メンバー加入を果たせるだろうか。
「……。」
信用されてないのかなって、情けなくなってきた。
何に対してかというと、捨てるとかヤリ目的とかじゃなく、
大事にしてる恋人に大前提の精神的な安心感を与えられていないんだっていう自分にショックだったし、
彼氏と逢えない女子高生の決まり文句『切ないよ』を、
儚げに零したくなった。
オルゴールは雑音でしかなく、田上さんの透明の言葉は結構ダメージが強い。
泣きたいのは俺の方だ。
だって――――



