『やっぱまだしたくなーい!』
『なんか近藤くんキモいから今日は嫌』
『がっつきすぎ、自分やりたいだけなんでしょ、引くわ』
どうせなら、笑いながら荒々しく拒否してほしかった。
泣いて怯えて我慢して、そんな可愛い可愛い女の子みたいな反応をされたら、
彼氏に合わせなきゃとそれだけ無理をさせたんだと、自分の愚かさに凹むしかないじゃないか。
本当に楽しみだった。
一ヶ月前からバレバレな程に浮かれていた。
当然野蛮な欲望もあったけど、そんな快楽的な類いを待ちわびているんじゃなくて、
今よりもっと親密になれるんだろうなって、
二人の関係が変化して、意識も広がり、もっと気持ちが豊かになる未来に期待している方が強かった。
だって、初めて好きになった人とならお互い人生で綺麗に残るし、
良い意味で依存され、俺なしじゃ高校時代を振り返られなくなるような日々が繋がることに、
すっごく憧れていたんだ。
けれども、十七歳が心理的距離について主張しようが、
結局は身体的距離もと欲張りに焦がれる自分本意な男子高生だと、
大人どもに『軽い』と否定されるのかな?
付き合う歴史が深まれば、田上さんの記憶に入り込めると夢を見ていたのに、
彼女は心のモチベーションが違ったみたいだ。
甘いキスに喜んでいたのは、クリスマスボケしたアホな俺だけだったのかな?



