甘さ漂う優雅なスイーツに手をつけないのが高校二年生の俺なのに、
衝動を抑え限界を我慢するのは非常に精神面が強い証拠なのに、
絶対泣いている田上さんは、その複雑なところを分かっていない。
というか、これが俺以外の男なら『面倒臭いな、チッ』って、
舌打ちして置き去りにする冷酷パターンAか、
『ここまで来たんだからやらせろよ』って、
無理強いする野蛮パターンBに決まっているんだからな?
そのどちらでもない寛大で大人で忍耐強い立派な人間が、田上結衣の恋人・近藤洋平なんですけれど。
いいや、男なら非力な可愛い子を前に、手を出さない筈がない。
そう、パターンAもパターンBと同じだ、自分本意に味わって数分後にポイ捨てする形式だと修正しておこう。
つまり、俺みたいな辛抱パターンZは凄く稀なんだ。
そんな神々しい近藤洋平に付き合ってもらえていることを、
田上さんはもっと感謝して生活したらいいのに。
随分値打ちのある彼氏様に交際していただいている恩返しとし、
手始めに自ら服を脱いでみせるのも、俺に気に入られる一つの知恵なんだけど、
賢くない彼女は、男を石にさせてしまう魔術になる泣く作業を続けるつもりらしい。
空気の読めないガキを恋人に持つと、困ったものだ。



