「…………たがみさ、ん?」
たとえば、俺がまともな中学三年生だったなら、
白い背中がホワイトクリスマスの雪ばりに眩しくて、手を伸ばしてみたくなるし、
ファスナーで出来上がったワンピースの魅惑的なVラインに人差し指をなぞらせ、
下着のラインに差し掛かった時にホックを外してみたくなる。
クリスマスの夜にもてなされる豪勢なパーティー料理をいただかない理由はないじゃないか。
けれども、俺は性犯罪系を許せない派で、
あんなの精神的に社会的に殺人と同じく凶悪なのに、
なぜ加害者がのうのう生きているのかと腹立つどころか、
軽すぎる刑をくだす裁判に携わった人たちにも苛立つ訳だ。
だって、理不尽に平凡な毎日を奪われて、勝手に試練を与えられる人を想像してほしい。
そう、痴漢や盗撮、その他諸々、
被害者を自分の恋人や娘、友人や知人に置き換えてみたら、答えは一つで、
大人は感情的になることを抑えがちならしいけど、
幾つになろうが、いざという時にしっかり喜怒哀楽を持った人間でありたいんだ。
そんな価値観が俺の強みであり俺のポリシーで、
そう、イケメン紳士になりたいならば、
まだそういう関係に抵抗がある田上さんに触る権利は自分になく、
今、一ミリでも手を動かせば、
二人が恋人だろうが、彼氏は余裕で犯罪者になってしまう。
好きな気持ちが悲しく染まるのは何故?



