そうして、田上さんもシーツの上に乗っかった時に硬直しているとは思ってたけど、
それは、女の子たちには当然のことなんだろうと、同級生らの情報で心得ていた。
だって、なんか、多分すっごい怖がりなんだ。
ファーストキスだって、可哀相なくらいガッチガチに固まっていたため、
そりゃあそれがあんなことするなら、操り人形レベルになるだろうと少しは彼女の限界が読めていた。
それでもクリスマスなんだし、九ヶ月なんだし、高校二年生なんだし、
予め嫌なら、一ヶ月前に提案した時点で予定変更され、今頃カラオケにでも行って熱唱しているはずだし、
したくないなら今日ここに居ないはずだし、
しかも、プレゼント交換の途中で自分からキスをねだってきたし、
そんな風に恋人の気持ちをはかり、オッケーだと判断した慎重な俺だからこそ、
優しく唇を塞いで宥めて、ゆっくりと寝かせてあげようとして――それがこの悲惨な状況だ。
馬鹿みたいに震えて俺に怯える女の子は、髪の毛で表情を隠すずる賢い奴。
いつも爆笑しているのが田上さんで、こんな泣きじゃくるオンナなんて知らない。
拒否? 拒絶? 恐怖?
とりあえず、涙がホッペを伝うのを初めて見た。
泣かせたの俺?
泣いてんのは俺のせい?
せっかくのハッピークリスマスイヴに、笑顔ゼロのこんなシリアスモードは勘弁してほしかった。



