ベッドに乗った時点で、女子並に怯みまくってんのが男子高生的に格好悪いから、
とりあえず俺は澄ましてた。
だって、田上さんにとって自分が初めてなら、なんかちょっとキラキラにしてやりたいなと考えるだろう?
シナリオだと『おいで』と手を広げて抱きしめようと思ったのに、
緊張でおかしくて、『近う寄れ』と、つまらない冗談を言って手招きしちゃったのが俺だ。
田上さんは、キャッチに声をかけられてムカつくと自慢する同級生の女子高生連中みたいに擦れてなくて、
交際歴に比例しキスの濃度が高まるにつれ、
驚いたり翻弄されたり戸惑ったり喜んだりするビギナーな子で、
刺激を求め、自ら女をセールスポイントにするタイプじゃない。
それでも、今日は雰囲気が違った。
どこか甘えたな女の子らしかった。
クリスマスにかよ、と、どんだけイベント好きのミーハーなんだとツッコミたいも、
学生らしい今の二人に夢中だったはずだ。
誰がどう見ても、絶対絶対俺たちカップルはいい感じだったはずだ。



