緊張の最上級で喋れない彼女を、近藤君は呆れていないのかな?

もう、逃げ出したかった。
大量の愛が落ちてきて、身動きがとれない。


「大丈夫。……うん、……もう悪ふざけは終わりにしましょっか。

さすがに俺もムード大事にしたい派なんで。まあ、そんな感じで。はは、なんだこの流れ、ウケるな」


普通は大きな手の平で後頭部を支えられつつ、

ロマンチックな口づけに酔わされながら、甘く寝かせてもらえるんだと思ってた。


まさか、小学生が膝カックンする要領で不意打ちに押されて、

からかいたいがために見下ろされる羽目になるとは、本当に想像してなかった。


しかも、別に勢いづいてる風じゃないけど、なんか近藤君てば微妙にペースが速くて、

まだ混乱したいのに、まだ葛藤したいのに、そんな時間をくれなくて、

シーツと私の首の隙間へ器用に右手を押し込むなり、

せっかくこの麗しい彼女が苦労して閉めたジッパーを、案の定あっさり下げやがって、

その流れで、今度はワンピースと私の余白へ巧みに右手を滑り込ますやいなや、

素肌を直接触ってきやがった。


もう諦めた。
心の準備なんか、多分好きな人を前にするなら永遠に調わないみたいだ。

だって、どんなに彼氏に追い付こうと走っても、

喜ぶ恋心といっぱいいっぱいな乙女心との距離のはかり方なんて知らないんだから、

結果、遠退くばかりで間に合わない。