星空刺繍


「はいはい誘惑してくれなくて結構、涙目で睨むとかわざとだろ、恐ろしい計算女だな。あはは。

田上さんやめて。誘わなくて大丈夫、もう足りてるから涙目禁止。これ以上は迷惑、はは。女出して媚びんなウザイ」


相変わらず緊張感ゼロの漫談口調が憎たらしい。

だって、いつものペースを崩さない癖に、厭味たらしい表情は同じ癖に、

前にピッてなったチャームポイントの耳を赤く染め、

戸惑いだけは隠せてないなんて、そのギャップはなかなか狡いでしょう?



「はい、事前報告その二な。今から俺イケメン彼氏になるから美少女彼女の服を脱がしにかかります、分かった?

鼓膜に悪いからさ、きゃあって二度と叫ぶなよ。ちゃんと予告したからな?」


右の口角だけ引き攣らせ笑う姿に、二重人格なんじゃないかって疑いたくなるのは、

「大丈夫」と、耳元で息を吐くように甘ったるく囁かれたせいだ。


再び現れた王子様らしい態度の違いにドキドキしかできないし、

腰の一番太いところを両膝で軽く挟まれたなら、

おでこに落ちてくる不規則な唇に困るしかできない。


「大丈夫。絶対大丈夫だから。な、だから緊張しやんくて大丈夫だって。

なんか女子高生どもが永遠を信じて愛を知って一生離さないでって思うピュアで甘い出来事が始まるらしいから大丈夫だって。」


ほら、こっちが意識しまくりテンパる中、近藤君ってばいつもの近藤君に戻るんだもん。

どっちが本当の近藤君なのか、なんだかもう区別がつかない。