恋人っぽい甘い雰囲気は近藤君らしくない。
同級生の皆なら、このシチュエーションに嬉しくて感動するんだろうけれど、
壊れ物みたいに位置付け、過剰な愛で包み、お姫様扱いされたら、
私は私だから、天然ボケをビッチだと舌打ちする割に、自分のことは棚に上げてブリッ子キャラを壊せない。
ねえ、可愛いことぐらいナルシストの達人は中一の入学式で自覚してるんだから、
わざわざ教えてくれなくていい。
今の近藤君は非常に迷惑だ。
お願いだから、学校での田上結衣っていう明るく元気なツッコミキャラを崩させないで。
私のホッペをこれ以上、赤く塗らないで。
やっぱり彼氏は狡い、彼女を無口なお人形にして、意思さえ奪ってしまう。
普段の私なら、『でっしょー、結衣ちゃんってば国民的に可愛いもん、可愛さ隠せてなかった?』なんてユニークに返すのに、
それさえ不可能にさせてしまうんだもん。
目は合ったまま――おかしい、こんな瞳をしてたっけってハテナが浮かぶ。
鋭い力に捕われて、何も考えられない。
知らない人みたいで――こんな顔をした他人は誰――
そんなことを思っていたなら、再び唇を塞がれていた。
あのね、そう言おうとした隙に侵入された。
いつもそう。
息をしたい時にわざとずらされて、限界なのに延長されて疲れる。
愛美が言うには上手で、里緒菜が言うには変態らしい。
そして、二人による私の評価は最悪で、相手に任せすぎで彼氏が可哀相ならしいため、
恋愛に熱心なボーイフレンドに、クリスマスだしと意気込んだ初恋初心者ガールフレンドが、
頑張ろうとして瞬殺で負けたのは秘密。



