「はい田上さん。クリスマスあげる」
信じられなかった。
近藤君の誕生日に私は革のブレスレットをあげたから、
勝手にクリスマスはシルバーの華奢なブレスレットを貰うつもりだったせいで、
まさか、その発想はなかった。
「…………、」
ラッピングを脱いだそれは、女の子なら憧れる特別なお宝だった。
アンチ天然派を代表する私のポリシーに反し、余裕で心の底からダイレクトに感動しちゃった。
でも、泣けない。
やっぱり田上結衣って人間は周りよりも女子高生グレードが低いせいなのか、
自然に男子をときめかす仕種を披露できないでいる。
だから、箱の中のものは幻なんじゃないかって、幸せが怖くて触れないでいる。
サンタクロースの正体は恋人ですよと、独り身にはせちがらい事実をポップに乗せてオルゴールが流れる。
相変わらずツリーの電飾はオーナメントをちゃちく輝かせる。
「なんか言えよ、彼氏の愛を前に無言を貫くとかお前エスだなー?」
ピアスを一粒持っている近藤君は、彼女の心境をあえて読まずにイジってきて、
普段の私なら、そんな彼に語彙豊かなユニーク返しができるのに、
恋愛浸けにされた今の私は、バラエティー番組に出た女優みたいに上手い言葉を選べない。
「っ、だ、……っ、だって!」
この感情をどうやって伝えたら一番近藤君が喜んでくれるのか、初恋弱者には難題で、
ただ真っ赤な顔で唇を震わせるという非常にお粗末な技しか披露できずにいる。
もっと好かれたいなら、どうして私はラブリー少女を模範できないんだろう。
『ありがとう! 大好きだよ』
胸キュン台詞で彼氏をときめかせてあげられない自分がふがいないばかりだ。



