「あ、美味し。ここアタリだな」
フォークを持った手の節の優美な感じが、なんか説明できないけど好き。
ケーキを口いっぱい放り込んで、ハムスターみたいに可愛らしく近藤君のホッペが動く。
「外国んお菓子みたいなん苦手だわ、あれ太るわ。俺日本人だから素材の味を活かしたやつ好き。な?」と、
彼氏がお喋りをしても、彼女は上の空で可哀相だ。
男子ってお化粧ができない分、偽り上手な女子に比べて凄く勝負師だと尊敬する。
今一番すっぴんを見せたくない相手で、いつかは唯一素顔を晒せる存在となる人とクリスマスを過ごせて嬉しい。
付き合うとか交際とか彼氏彼女とか恋人とか、歴史が増えているのに、
どうして私の幸せには飽きがこないんだろう。
「ケーキなぁ、ろうそく消したかったし。ほんま残念凡ミス。あれだな、来年はマッチ用意しなきゃなー。マッチ売りの美少年洋平くん」
ジョークの流れで、さらりと一年後の約束をこじつける甘い発言を外さない、そんなところが大好き。
ロマンチックな雰囲気をガサツに笑って壊す癖に、きちんとおさめるところが憎い。
もうすぐあの唇にキスされるんだって考えたら、なんかもう頭が働かなくなってきた。
時計はそう、五時半をさしている。



