今日はお母さんに絶対バレない嘘をついてきた。



それは、三週間前のこと。

来年は着ない流行りモノを買うには最適な大型スーパーに入っている微妙なブランドとは呼べないメーカーの服屋さんで、

お母さんと目的なく服を見ている時に、あえて言った。


『あのさ、クリスマスなんだけどね! 同じ学校の男子で、近藤くんの、彼氏の友達のさ、市井って男子が居てね!

そいつめっちゃお金持ちだからなんかそいつが家で皆でパーティーしよって誘われて。

あ、ちなみにそいつイケメンなんだよ、あはは。でさ、本当は二人で遊ぼって前から予定してたんだけどさ、なんかケータリング?なんかよく分かんないけどセレブな食べ物いっぱい用意するらしくね。勿体ないじゃん?

しかも愛美とか里緒菜とか行くのに私行かないとか女友達より男優先のビッチでヤだし。

てか、おーつかとか静香ちゃんとか奥サマとか皆結構行くみたいだから、なんか行かないと微妙だし。

てか、近藤くん市井と仲良しだから行きそうでさ、だから一緒に市井ん家に行くことにしたんだ。

楽しみー! お父さん送るとか言いそーだよね。てかデジカメお姉ちゃん貸してくれるかなぁ?』



小学生が台所で晩御飯の準備をしている母親に、学校であったことを教えるスピードとテンションを真似て、

一生懸命、来たる十二月二十四日の説明を一方的にした。