それが、今日、クリスマスだからと彼氏に男を見せられて、
彼女は怯えやしないのかと考えなかった訳ではない。
恋愛経験が乏しい男子が夢見るキャラクター・天然ボケな鈍感純真ガールに田上さんは当て嵌まらないけど、
夜めいたテーマに限り、若干その気質があると踏んでいる。
だからだ。
だから一ヶ月以上前に、お子ちゃまな付き合いをクリスマスに卒業し、
もう少し皆みたいに貪欲な大人っぽさを目指しましょうねと、何となしに準備期間をあげておいた。
それでも、矛盾するのが高校生の掟で、
「いやいや、セクハラで訴られたら大概男は負けんだよ」
「えー、クルリンパじゃん」
「熱々おでん作れ」
「熱湯風呂?」
そんなにクオリティーが高くない会話で、呑気に盛り上がれる今の距離感が大切だったりする。
この二人の加減が愛おしかったりする。
「なんで私のだけ焦げてんの! 近藤くんなんかインチキした?! うざー」
小学生並の話術が似合う恋人は、俺にとって最愛のお姫様だ。
今日もまた好きになった。
おままごとは悪いと言うけど、結局いかに今を楽しむかじゃないかなと、屁理屈を並べて純愛を主張しておこう。