「冗談ナシで俺どーすりゃいーのかって? …………分かったよブス。」
ベッドの上でイケメンぶれなかった代わりに今、公共の場で男子高生ぶってみようか。
どうせ別れる分際で自分たちの愛は永遠だと信じ込み将来を誓うなど、なかなか可愛いと思う。
大人には真似できない子供ながらの感性を、
『軽い純愛でオーバーに笑わせないでよね、高校生って痛いわ〜浅いわ〜若いわ〜』と、ひがめばいい。
本当は羨ましいんだろ?
馬鹿になれる俺たちの記憶に未練たらたらなんだろ?
美少女な田上さんの片手を摘むように上へ引っ張り背伸びをさせ、
王子様がお姫様とダンスをしてるオルゴールの人形でありがちなポーズをとってみた。
見上げるため前髪が左右に流れて覗いた眉と、目はやや距離があるため幼い感じ、
動揺で『は?』と零したげに開かれた唇は赤ちゃん並に柔らかく、
パーフェクトに可愛いおっとりな子は俺の初恋だと教えやしない。
「こっちの指、予約しとくから。」
これぞ古典的な童話にありがちなシナリオ、彼氏は赤っ恥を知らないのか彼女の薬指へなんと唇を寄せていた。
――――ほら、これこそが起きて見られる夢の魔法だ。
大人には精神的ダメージがでかすぎて無理だろう?
クリスマスの別れ際っぽくプロポーズまがいな発言をしてみたものの、
あまりの不気味さ、これには流石に我ながら引く。



