星空刺繍



付き合って九ヶ月。
PTAお墨付きの健全なお付き合いが今日で終了するのかと考えれば、恥ずかしくて仕方がなくて、

どうも調子が狂い、

「田上さんラッキーだよなー。中学ん時、俺とかクラスで一番イケメンって普通に言われてたんですからねー」と、

無駄なお喋りで間を繋ぐのが俺というヘタレな男だ。


今、恋で精一杯、そんな彼氏と彼女。



何を隠そう、クリスマスデートプランは一ヶ月前に計画していた。

緻密なタイムスケジュールに従うと、終業式後に各自着替え一時に待ち合わせ、彼女の意見で即プリクラ撮影を済ませ、

スーパーで買い出しをして二時前、ウィークリーマンションでお料理対決、少し早いけど五時頃に晩御飯とケーキを食べ、

八時半に帰るまでの時間はプレゼント交換をした余韻で、良い感じの雰囲気になる予定なので、そこから――

そんな甘い夢を叶えるべく、今はまず買い出しに向かう。


やっぱりクリスマスの二人はおかしい。

「この前選んだ簡単なレシピ印刷しといたよ」

俺ときたら、こんな面白みのない話を切り出すし、

「え? あ、うん、ありがと、」

田上さんときたら、こんなつまらない返事をするし、

いつもなら、『この前選んだレシピ印刷したよ、俺気が利くだろ』と、愉快アピールのウザイ口調を俺がして、

『うっそ、さっすが私の彼氏!』と、彼女は大袈裟に褒めたたえるはずなのに、

会話のリズムはクリスマスアレンジされ過ぎて、原曲が分からなくなる。