『おめでと』

『大丈夫、大丈夫!』

打ち明けた秘め事に、プリクラを配る時に自慢できる可愛さの友達が笑ってくれたなら、

あの人とそうなることは全然間違ってないんだなって、私は流され気質だから安心した。



中高生ぐらいで『大人になる』とか、『女になる』とか、

意味不明に含みを持たせて比喩されがちな出来事に、

どこかで後ろめたさがあって、

どこか躊躇しがちだったのは、アホな私の勘違いなのかなって結論づけた。



付き合って九ヶ月、人よりペースが遅いものの当然それなりのキスはしたことがある。

だからクリスマスの誘いの先にある違う意味の誘いに、馬鹿みたいにドキドキした。


張り切ったオシャレは街中だと空回り気味、どうせシャワーで落ちてしまう無意味なメイクに、

女の子が必要以上に時間をかける事実を、男の子は知らない。


せっかくセットしても乱れてしまうであろう髪を、二十四日の朝は必死で綺麗に造ろうと決めていた。



どれだけ緊張したって別に死にはしない。
ただ全部が特別だと分かっていた。

目の前に居る人の手が、雪を溶かさないように伸びてくる夜は、

多分、悩み事が彼氏かネイルの形か辺りのキャピつくアタシはイケてますアピールを趣味とする女子高生が『幸せ』って言うやつなんだ。



つまり、その程度。

『切ない』や『逢いたい』をメールで打ちがちな彼女たちがそうやって詩的に飾るなら、

携帯電話ナシでも不便ながらにまあまあ生活できる自信のある私にとって、

それは別にそんなたいしたことないってことのはずだ。