ストレートな感情表現とは違う言葉の隙間に隠されたコードを読み取れば、嬉しい毎日なんだ。
卒業するまでに制服を着てたくさんデートをしよう。
大人になったら機会が減る分、長距離だってチャリ移動をしよう。
ゲリラ豪雨に濡れて体育をしよう。借りたシャー芯を返さないでおこう。
クラスメートにお揃いで通学鞄へ落書きをされよう。男友達に地方雑誌のカップル特集で勝手に申し込まれよう。
それから、コンビニで買ったお菓子は手も洗わずに公園で食べよう。
帰る時間は太陽に任せ、通学路を勿体振って歩き、
雑草を抜いて天日干ししてから粉々にして小瓶に詰めて毒だと笑い、
翌日は『昨日テレビ何見た〜?』と、クラスメートに話しかけよう。
なあ、田上さん。
青春が田上さんと一緒で喜ぶ俺を馬鹿だと引いてくれたら本望だ。
現在に固執すれば、卒業して肩書きが学生を終えた頃、
何年経っても制服に身を包んでいた毎日の記憶は輝いてて、
一番楽しかったあの時代に負けないようにと、今の二人が明日への活力になるんだ。
ほら、文化祭って、人生でたった十回しかない。
入学式は五回ぐらい、席替えは六十回程度なら?
田上さんは知らないんだ。
仮に別れようが、この九ヶ月を高校生らしく恋愛をした俺たちだから、
桜が、紫陽花が、朝顔が、金木犀が、シクラメンが、季節が二人を離さない。
二十四歳、三十二歳、四十八歳、五十六歳、六十一歳、七十九歳、八十歳、永遠に毎日毎日日常で恋人を思い出すんだ。
ああ、もうここまで妄想できたなら、近藤洋平は平成のプロフェッショナルだろう。



