「そーいや市井って絶対たぶん近藤くんのこと好きじゃんかー、見てて青春オーラあんたら二人ヤバイよ! 学校ペアすぎ。
付き合う前から思ってた、ぽこりん絶対市井ん横が定位置ーって。ふ、仲良しするより一人で行動しようよ! ウケる、やばいツボった」
せっかく星空の下なのに、せっかくクリスマスツリーの下なのに、
ムードのカケラもない内容で愉快そうにペラペラお喋りをする田上さんは、
ほんの少し前、妖艶に鳴かずにピヨピヨ泣いてた女の子と同一人物だとは思えない。
なんか上から目線で申し訳ないけど、
ただベッドの上に座っただけで緊張しまくったり、ちょっと手を加えたキスだけで腰抜けになったり、
寝かせられただけで必死に平常心を保とうとしたり、軽く触られただけで涙する姿は可愛かった。
あの時の田上さんは田上さんだけど田上さんらしくなくて可愛かった。
でも、まあ、結局、惚れた女って男には怖いんだ。
数時間前――いかなる場合も余裕こけたらリードできるイケメン紳士なのに、
好きな子に抱きつかれただけで、俺ときたら頭真っ白でよく覚えてないんだからダサイ。
まるで朝焼けの頃のシーツに変身したみたいだった。
嬉しさと困惑と興奮と、たくさんの感情がいっぱいで、今しか考えられなかった。
なあ、こんなアホ二人をベストカップルと呼ぶ以外、うまい表現はないだろう?



