星空刺繍


新婚旅行、一軒家、昇進、里帰り、新しい命、同窓会、

たくさんの普通を当たり前に並べた頃でも今と変わらず相思相愛、

クリスマスの一ヶ月前ぐらいにはツリーの飾り付けをしたいし、

当日は仕事帰りにケーキを手土産にして、パーティー料理を作って待つ妻と青春を繰り返したい。


高校生活は大好き以上が分からない。
世界中の辞書から『好き』を贈ったところで予算に届かない。


強いて言うなら、たとえば俺がテフロン加工の剥がれたフライパンで鮭のムニエルを作って、

焦げつき失敗した行き場のないストレスを、

『栄養食べられるよ』と一言冗談を添えて田上さんが笑ってくれたなら、

全部がプラスにまとまる働きをしてくれる特別な存在だ。


……とかなんとか、『自分にとって必要な子なんだ』ナントカカントカさらりと言えば、

あまりに空回りイケメンすぎるから、カジュアルダウンするなら、

俺の恋人はなんか理不尽なモヤモヤをカラッと馬鹿騒ぎで流してくれるバランス感覚に優れた奴だと褒めておこうか。


春はまだ先、本格的な冬はこれから、今はまだすべてが始まったばかり。


目線を上げれば居酒屋雑居ビルやビジネスホテル、老舗百貨店や都心マンション、

当たり前の日常が無料で感動できる星空をむやみに隠してしまう。

童話の挿絵で登場する高い塔は、威張りん坊の王様やお子様な女王様がよく似合う教訓を、

誰もが忘れてしまっているのかな?