浅く薄く軽く安い愛情を押し付けあって九ヶ月、同級生たち並の親密さや絆や深みはないものの、
俺は遂に分かったんだ。
性格がアレな二人の相乗効果が働き、
マンネリ気味な一日も田上さんと過ごせば、小学校のお楽しみ会の日みたいな胸騒ぎがするんだと。
なんか謎だけど、毎日がメニューを選べるお楽しみ給食の時みたいに新鮮で喜ばしい魔法がかかる。
「豆腐食べなよ!」と、言葉の雰囲気のみで喋るお姫様は、
夏休みのラジオ体操カードにそっくりだ。
俺の恋人は、見た目が砂糖菓子みたいな子。
壊れちゃいそうな少女らしさが漂う子。
ふんわりほんわかのどかな雰囲気の可愛らしい子。
けれど、林檎の表面を滴る雫みたいに潤んだ唇を一ミリ動かせば、
たちまちお嬢様キャラは崩壊してしまう。
「本当お正月のおばーちゃん家って何? お菓子にケーキ、果物で散々もてなされてのお節とお寿司、んで食後にアイス、お土産にまたケーキってゆー。
エンゲル係数ナンボってゆー話だし。ウケる! 老人かなり愛おしくない?」
ああ、田上さんはギャップが激しい。
ルックスのみの甘い先入観は、実際に接するとことごとく一致しやしないんだとこの人に出会って改めて学べた。
そう、早起きして中庭で人知れず花壇の手入れをしていそうな清純イメージは偽りで、
食堂で水を零しただけでキャハハと笑えば幸せになる女子高生そのものだったなんて、
黙ってればもっとモテるのに勿体ないが、俺はエセ清楚が鼻につくため、
持論がしつこくなるも、今のままのフランクな言動が有り難い。



