高校生アイコンの代表カップルだと自負する俺と田上さんには、
ネクタイの結び目やらセーターの弛み具合やらを駆使し、
程よくオシャレに着慣らした制服がよく似合う。
たとえば放課後の街中で地元の知人と偶然会ったならテンション高めに世間話を数分、
ちょっとケーキを一口食べたなら、今までで一番美味しいと豪語する、
そんな現役組は、
事あるごとに手を叩いて大袈裟に笑わなきゃならない宿命のため、
たとえクリスマスイルミネーションを前にしようが、
ガッチリ手を繋ぎ濃厚な口づけを遂行することは、きっと初めから不可能だったんだ。
「田上さんって中の上の可愛さだからさ、中途半端に調子乗る一番ウゼェ奴だよなー。
地味には偉そうでギャルには弱腰の、ふ、お前まじ外見もアレなのに性格までわりぃんだな?」
せっかくのピンクシュガータイムでさえ、
俺にとってはガサツ内輪ノリコーナーとなる訳で、
「てかケーキほんと美味しかった。お腹いっぱいだわー。
なんかカロリー摂取し過ぎだろ俺ら今日。こっからお正月やらなんやら余裕で太る下腹恐怖」と、
色気のカケラもない口調で軽く笑ってみせれば、
田上さんも同じように歯を覗かせ、嬉しそうに肩を揺らしていた。
微笑ましい二人は、小学生が『大人になったら皆好きな人と結婚できる』の空想を信じて疑わなかった象徴だ。



