可愛いことを言ってくれやがる彼女の髪をいい子いい子と撫でたり、
軽いスキンシップでハグしたりしたいけれど、
そういう男前ロマンチストの言動は俺のキャラじゃないから、
あえて小学生みたいなノリを真似ることを先に謝罪しよう。
「うん、名言だった。でも田上さん惜しい、だって既に美少女なのにぶりっ子したらお前もう完璧女神じゃん?
したら田上さん、あれじゃん、今以上可愛くなったらブスどもに嫉妬されて意地悪されるぞ。社会的に暗殺される、ガチの美人薄命かよ」
つっまんない内容をさもユニークだと言わんばかりに肩を揺らし、
誘い笑いをする俺を贔屓してほしい。
『世界で一番好きだよ』
『君に出会えて幸せだよ』
他人が耳にすれば舌打ちするしかないラブラブ会話へ一定の憧れがあると同等に、
伝えてしまうと想いが安く軽く浅くなる気がして抵抗があり、
結果、同級生たちの典型的な恋愛物語に引いてしまうせいか、
どうも恋人モードには友達空気を挟んでしまいがちで、
それがいまいち月の下でアダルトで淫らな純愛をできない原因だとまとめる仮説は有力だ。
親密な愛を抱けない。
子供臭い距離感で、たとえばスパイごっこでおはように俺たちだけにしか通じない暗号を用い廊下をすれ違えたなら、
将来、二人の思い出青春話を孫にウザがられる頻度で自慢したいんだ。



