携帯電話の画面が放つ光りは、冬を含んだ空気のせいでおっとり気味だ。
「無駄な抵抗はよせ、保護付きで保存した」
「……うん」
不服そうにホッペを膨らませる彼女に、
「暗証番号知らねんだからケータイ奪っても意味ねぇよ」と、彼氏は得意げに笑ってみせた。
恋に比例し、俺の八重歯が悪戯に覗いたら、
「……うん、」と、想像とは別に歯切れ悪く返事をする。
田上さんの口数が極端に減ったのは、盗撮削除を諦めたのが原因じゃなく、
やっぱり秘密マンションでの未遂事件を変に意識してるせいで、
普段なら『ウザイ!』ってつっこむべきところを、後ろめたさと羞恥その他もろもろドギマギ影響で、
じゃれあいの流れが止まってしまっているらしい。
彼女をベッドに寝かせるのに失敗した彼氏の胸中を、どう思っているんだろう。
『ダサいじゃん』と、途中やめが格好悪くて俺が自分自身に幻滅したと思ってる?
『やらせないなんて』と、俺が田上さんに苛立っていると思ってる?
『こっちは十代なんだよ』と、男子の事情を配慮できない田上さんに俺が呆れたと思ってる?
なあ、田上さんはクリスマスの記憶の中に俺をどんな風に組み込んでいくんだ?
同級生の女子みたいに、深夜突然の電話で素直に気持ちを教えてくれたらいいのに。
でも、



