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「お待たせ、田上さん!」

クリスマス当日より二十四日の今日をフューチャーしたがる俺は、

年末の一大イベントを国民的に顔が可愛い彼女と過ごすのだから、

典型的な男子高校生の中で勝ち組だと思われる。


なぜって、まだ幼いクラスメート内で男友達に羨ましがられる奴は、

顔が良いかスタイルが良い恋人の彼氏をしている人間だと決まっているせいだ。



学生の下校ラッシュを迎え終え、

人通りが少なくなった頃の風はあたたかい太陽と冷たい風の差が冬っぽい。


誰かと約束を入れたがる終業式の後、

お互い一旦帰宅をし着替えを済ませ、一時に待ち合わせ場所に集合した。



昼間には輝けないイルミネーションやそれ関連のモニュメントの前に、

ツリーみたいな色をしたコートに黒いファーを合わせた明らかにクリスマスコーデの可愛い田上さんが突っ立っている。



「ちょ、鼻垂れてるかな、俺。寒くて分かんね」

冗談片手に駆け寄る俺のドキドキする胸は、好きな子に対して嘘をつけない。


そう、付き合って九ヶ月と少し、今日はキスの次に踏み込もうと頑張りたいところ。

つまり、直球で表現するならベッドに寝かせ服を脱がし、

雪ばりに白い肌へ唇を寄せたいと、昼間から野蛮な妄想しているだけだったりする。


でも、それじゃあ乙女ビジョンで気持ち悪い野郎になるため、好感度を狙い、

『愛したい』とロマンチックに綴って下心をごまかす天才が俺だ。

とりあえず、十七歳のチャーミーな少年らしくクリスマスイヴには積極的に期待してみる。