気ままに強さを増す風は、耳の後ろを駆けていく。
夜色の建物は空との境界線がないせいか、窓から漏れる明かりの先を辿れば月へと続く梯子みたいだ。
なんて詩的に天井を仰ぎやしない、三流の主役はいつだって地上で這って過ごすべきだ。
幻想的なクリスマスツリー、美しいイルミネーション、心に響くオブジェ。
光の道を今、本当は二人手を繋ぎ歩きたかった。
同じ歩幅で足を進めたかった。
なんて、中学生辺りが萌え親しむロマンチスト男子を真似る能力に欠ける俺の唇が、甘く動くはずがない。
リアルな瞳は素直で頑固、
威張り気味なクリスマスツリー、欲張りなイルミネーション、間に合わせオブジェに見えてしまうし、
光の道は今、二人手を繋ぎ歩けなかったし、同じ歩幅で足を進められなかったしで、
まったくイケメンが聞いて呆れる。
自分の都合が通らない時、今回の場合はクリスマスに便乗して愛を抱こうというなんともピュアな目標を失敗した時、
人前でため息をつくなんて、いい年して恥ずかしいし周りからすればあまりに欝陶しいし、
『はあー』は、構ってちゃんの印なので、
彼女に対する期待が叶わない現状への落胆や切なさその他諸々は飲み込み、深いため息オーバーリアクションは慎もう。
なんやかんや総合したところ、まばゆいクリスマスツリーが背景で、
好きな子の手をさらいたいのにポッケに隠すことが、俺なりの愛情量だと信じたい。
触れたいのに怯む過程を大事にすれば、
平成の国では三流だが、お花畑の国だと晴れて地位高い王子様となれる鉄則だ。



