星空刺繍


いつぐらいだろう。
付き合って三ヶ月経った頃だったろうか。

俺の真剣純愛度合いは、周りを説得するのが困難でも、

恋愛患者の田上さんを納得させる素晴らしい方法を発見した。


そう、信頼や信用は夜の関係を持たなかったら容易に証明でき、

プラトニックな彼氏彼女の方が大衆に歓迎されるという法則を。


『カレシからだ目当てじゃなくて優しいね』

『やらなくてもこんなにカレシに愛されて結衣は幸せだね』

友達にそうやって台本口調で褒められるなら、

田上さんは馬鹿だから『あたしのカレシはそんなに立派なんだ!』って鵜呑みにするし、

周りだって、『好きだからこそ辛抱してカレシ偉いな!』って二人のピュアラブを認めてくれるんだ。


つまり、できちゃった結婚をする勇気はない。

『本当は子供ができたから仕方なく籍を入れたんじゃないのか?』と噂されたなら、

自分が本当に惚れていても、それを皆に伝えられずにいるのがきっと俺なんだ。


やっぱり付き合う意味は謎だ。

とりあえず、バイト終わりに向こうからのメールを楽しみにする浅はかさがカップルの醍醐味だと思いたい。

男友達と服を買う時に、向こうが好みそうなコーディネートを考えて選ぶことが、

恋人の深みだと思いたい。


こんな風に、本当の本当にどれだけ恋人に惚れてるのかを暇な時間に悩んでみよう。

そうしたら、その日の気分次第で都合良い支離滅裂な持論が見つかり、

それは女を口説く便利な持ちネタになるはずだ。