キラキラ輝くアーチの下は、まるで天の川の中を歩いているメルヘンな気分になり、
ついロマンチックに浸りたくなる。
もしも大富豪ならば、あらゆる手段を駆使し、
金にモノを言わせ湯水の如く雪を降らすところだが、
三流一般人の場合、
紙吹雪、またはかき氷を大量に作って、
フェンス上から子供心満載でバラ撒くのが妥当で、
雰囲気は違えど、どちらも甘く蕩けることに間違いないのだろう。
そう、三歩先を行く無言の田上さんを、俺は無性に抱きしめたくなってしまっていた。
好きだという感情はいつになったら生産を止めるのやら、謎は深まるばかりだ。
履き口が筒みたいなブーティーは、ヒールのしなやかな曲線が女の子らしい印象に合っている。
ツリー色のAラインコートは腰よりやや高めにリボンがついていて、目線が上がるためスタイル良く見える。
首もとのファーでコーディネートが引き締まって、良いポイントになっている。
田上さんを外見のみで考慮すれば、付き合った経験ゼロの男子が萌える典型的なお人形さん要素が満載だ。
故に、駅前のここにいる女で一番可愛いのが田上さんだ。
絶対、田上さんが一番可愛い。
だって、見知らぬカップルの彼氏が自分の彼女を差し置いて、俺の彼女を執拗に追っているんだ。
田上さんはそういうのに気づかない無垢な乙女じゃないせいで、
あいにく後ろ姿から表情は読めないけれど、どうせお澄まし顔で星屑の花道を眺めているんだろう。
そのナルシストな部分を知ってるのは、きっと男なら俺だけだ。



