もう分かった。
もう分かってしまった。


家族は留守で二人きり、静かな部屋、甘い雰囲気、閉ざされたカーテン、目の前は暗闇、

そんな未来、そんな将来、

私は近藤君になら、きっと優しく目を閉じることができる。


そんな新しい日が訪れるらしいと、もう分かってしまっている。

良かった、好きは大丈夫だ。



「指輪って言い方古いん? あれか髪飾り腕輪ペンダント耳飾りみたいな。チョッキ、ズボン、的な。ふ、ペンダントが一番ウケるな。古臭え」


せっかく彼女が恋人らしい夢を見ているのに、

彼氏ときたら空気を読まずに一人漫談口調を止めないからやっぱり馬鹿だ。


「……。」

立ち話する距離感で発見できる場所にピアスを飾る男子があんまり得意でない理由は、

オシャレって全面に出すより、

隠す方が自己愛具合は高く、逆にセンスよく感じる私の性分のせいだ。


もう高校生だし来年は受験生だし、何より今時ピアスとかダサいしで、

本当は穴を塞いでほしいけど、むしろ昔あけずにいてほしかったんだけど、

それでも近藤君にトキめく乙女心の仕組みは、複雑なようで簡単。


好きな人は特別視されてしまうんだ。
何をしても恋する理由にリンクする魔法。

学生恋愛って、カラッポを突き進む方が何かしら幸せには有効だなって笑えた。