この勝負、余裕で私が上に立てたみたい。
床に四角形を作ってる足の中に隠れる勢いでうなだれた近藤君は、
「黙れ短足」と、違和感なくツッコんでる癖に、
髪の毛からはみ出る耳はケーキの苺色で動揺を晒していた。
もう、こういう捻くれた意地っ張りリアクションが大好きだ。
私はこの可愛らしい人に慕われてるのなら、どんなお礼をしたらいい?
恋愛に思いやりや努力は必要でしょう?
でも、直球で『愛してます』の気持ちをアピールするドラマチック具合はナンセンス、
ここは歪んだ二人らしく、体操着袋をランドセルにぶら下げて攻撃しあう精神を貫こう。
つまり、彼氏に感謝してるけど、
始まる初めての出来事に緊張して困る彼女を散々からかった事実は根に持ちたくて、
「やだ照れてるの? え、何アタシに萌えたの? ウケる!」と、給食時間の小三並に意中の少年を積極的にイジってやる。
恥ずかしくて嬉しくて幸せで好きすぎて私を見れずにいる近藤君の前髪は、
カタカナのノを連続して書いたみたいに凛々しい瞳を打ち消していた。
たまには恋愛慣れした女子ばりに、男子の前で優勢になりたい。
手の平で男心を弄ぶ女王様に君臨したはずだったのに、
私にとって、初恋は難しい。
結局、調子に乗った自分がホッペを膨らませる事件に陥るなんて、この時はまだ想像してもなかった。



