卒業式みたいな感じ。
新たな世界に大切な人と旅立つことが嬉しいのに、

もう二度と今に帰れないのかと思えば切なくなる心境で、

それを自分が乗り越えられるのか、あまり考えられてない。


制服を脱ぐ前は気づかないでしょう。
約束をしなくても学校で会える意味を。
デートの予定が仕事の都合で狂うことを。
キスをする前のぎこちない淡さを。
今に精一杯で毎日が爆笑できる馬鹿さを。



そう、ただ、まだ、クリスマスというイベントが楽しみで遠足みたいな気持ちの方が大きくて、

皆みたいにそうなるんだっていう数時間後の出来事を、

深く受け止めることができないでいる。


きっと、どこか恋と向き合えていない。



深く追及したらもう平常心じゃいられなくなるから、

もう一度コーディネートの見直しに入っておこう。

しっくりしたツリーの色をしたスタンダードカラーのコートは顎まで隠れ、ワンピースみたいに着られて可愛い。

結局、ブーティーとバックは無難に黒でまとめた冒険のなさが、私の性格そのものだ。



全体的に頭が淋しいからアクセントではめている細いリボンの黒カチューシャを、気持ち少し前にずらす。


……これを外す時に近藤君が可愛いと言ってくれたら幸せなんだけど。



まあ、言われたら言われたで恥ずかしくて引くんだけど。


でも、やっぱりクリスマスぐらいは彼氏だけの彼女らしく振る舞いたくなる不思議。

恋愛の影響力って、どうして果てしないのかな?