少しは恩返しをしたい。
少しは誠意を払いたい。
少しは愛情を示したい。
ねえ、私だって女の子らしく好きな男の子の前でぐらい少しはぶりっ子したい。
だから、手始めに頑張って女子高生っぽく上目遣いを真似てみる。
次に、「ね、……私気づいたんだけどね」と、
シリアスな切り口で恋愛を語り出してみる。
完璧、儚い瞳で見つめりゃ正解。
男子高生って『計算女にひっかかってたまるかよ』って奴に限って、
同性にはダサいと嘲笑されてる中途半端なキャラに夢中なんだ。
ドキドキしてもらおう。
ときめいてもらおう。
胸キュンしてもらおう。
なのに、
「あのさ、私みたいな可愛い子が彼女で近藤くんって普通に嬉しくない? 私ってば顔面偏差値なかなか高い訳じゃんか」
結局、ちっとも乙女心を唇で再現できないのが田上結衣の特徴だったようだ。
キラキラ魔法のグロスを拭られてしまったせい?
虚勢は見事に崩れてしまい、強がって冗談を武器にしてしまう。
好きな人に好きさえ伝えられない私は、どこか幼いのかな。
「はあー? お前ポジションで美少女なら世の中全員絶世の美女だからな、ふっざけんな。
ボランティアで付き合ってやってんだよ俺は。優しいんだよ俺は。」
つまらないジョークに乗っかり、面白いと八重歯を覗かせてくれる近藤君は大人で、
いつも我慢して、いつも犠牲にして、いつも遠慮して、
いつも嘘を並べて、いつも演技をして、いつも子供のふりをして、
「あはは!」と、私が笑えば、
「ははっ、」と、楽しがるなんて、
いつまで近藤洋平を続けたら気が済むのかな?
なんか、小意気な彼氏がむかつく。
少しは新しい一面を見せてくれたらいいのに。



