誰にも聞かないのに皆に教えられて、裏を教えられたから内緒が分かったんだけど、
デキ婚でからかわれた時代を本人が口にしないから、
きっと私は馬鹿だし他人に興味ないし、全部を忘れてしまったんだ。
『アタシにだけは言ってほしかったよ』
『アタシの前でぐらい強がらないでよ』
『アタシが傍に居てあげるから大丈夫だよ』
そんな発想は桃色の国だと女の子らしい決め台詞とされ、ふわふわ可愛らしいけれど、
桃色の国を追放された灰色の国だとトンチンカンな痛い子ちゃんだと失笑されてしまう。
『アタシにだけは言ってほしかったよ』って思うけど、
近藤君立場だと、私にだけは絶対知られたくないことなのかもしれないし、
『アタシの前でぐらい強がらないでよ』って思うけど、
近藤君立場だと、私の前ぐらいは格好付けてプライドを守りたいのかもしれないし、
『アタシが傍に居てあげるから大丈夫だよ』って思うけど、
近藤君立場だと、私が隣に居ない時こそ頑張ってるのかもしれないし、
だから、だから、だから、
灰色の国の住人ポリシーで、物事の裏を読み取れるお姫様でありたい。
誰よりも一番考えてる量を、態度で示してるつもりだ。
自分にだけは言ってほしいし、弱さを見せてほしいし、慰めてあげたいけれど、
それを彼が望まないみたいだから、
『アタシには言わないで』、『アタシの前では強がって』、『アタシに甘えないで』って、
あまのじゃくに我慢してる。
だから、だから、だから、



