それにプラスで、昨日まで足元は黒いブーティーとクリスマスらしい真っ赤なコート、
仕上げにベレー帽を合わせようかと計画してたんだけど、
なんとなくお人形コーデを頑張り過ぎている気がしてやめた。
外国の草原でピクニックしていそうなアンティーク風のファッションが好きで、
今流行りのレトロとも少し違う。
一緒に買い物をしている時に、
近藤君が可愛いとは言わないけれど、暗にそういう系統を勧めてくるから、
付き合うようになって、少し嗜好が変化したみたい。
ホッペをつねる風は噴水の形を変え、煌めく虹を作り出す。
ひらけたロータリーの前、目的が謎なモニュメントの脇を、
制服姿の女子高生グループが、クリスマスに難癖つけてはしゃぎ通り過ぎていく。
待ち合わせ場所に予定より早く行くのが好きだ。
友達や彼氏が来る前に、あれこれ妄想ができるし、身嗜みを点検できるし、
何よりその日にしかない周りの何気ない風景を記憶として目に焼き付けておけるなんて贅沢でしかない。
鏡の中の顔がにやけている事実は照れ臭くて、あんまり直視できなくて、
私は多分、今日この私にさよならをして、
新しい私と初めましてをするんだなって思ったら、
なんかもうやっぱり現実味がない。
クリスマスツリーが世界で一番優雅に輝く頃は、保護者ビジョンだと信用ならない恋愛、
学生アングルだと純愛に従い、
私が近藤君の一番近くで、世界で一番まあまあぼちぼち愛されている頃だ。



