だから、ねえ、
彼女の気持ちを解釈し間違え、年頃の素直な衝動を一生懸命堪える近藤君はマヌケで可愛い。
こういう発見って貴重なんだ。
友達じゃなくて実際付き合わなきゃ見えない内面に感化される度、
私は愛おしさを集めることに成功する。
しっかり輪郭を確かめる彼女に身構えたままで、やっぱり同じ強さで返してこない近藤君は、
絶対に浮気をしないんだろうと、
彼のようなタイプは特に歳を重ねるごとにモテるんだろうと、
独りよがりな妄想で余計な心配をしてしまう。
だって、例えば不倫。
社会人の男性って顔はさておき家族想いの人がやたらモテると思わない?
それは女性のナルシシズムと密接な関係があって、
たくさんの誘惑に負けず妻一筋の人、つまり落とすには困難な人を手に入れる自分に酔いたいらしく、
『奥さんよりアタシの方が彼を想ってる』『傍に居られるだけで幸せなの』
『報われないって初めから分かってたのに切ない』みたいに、
自己愛が半端ない境遇を好む女性こそ、誰かに一途な男性に惹かれる訳で、
イケメンで性格良くて面白くてモテてる割に、田上結衣しか興味がない近藤洋平は凄く危険なんだ。
ちょっかい出す女に嫉妬する?
ハッキリしない彼氏が不安になる?
アタシなんかが相応しいのかなって卑屈になる?
残念、どんなしたたか美女に狙われようが恋人に忠実な近藤君の横が似合う限り、
私は澄ましてヤキモチを隠し、いくつになってもテレビの話を続けるんだろう。
「……。」
クリスマスイヴ、今夜は素直になりたくなる日。



