そして、ついでと言ってはなんだけど、
手触り重視で今朝頑張ってアイロンした髪の毛を、これまた慎重に柔らかく撫でてくれたら嬉しい。
赤ちゃんを慈しむみたいに、無条件で宝物にしてほしい。
高校二年生、十六歳、今の私は今しかないんだから、今の私の全部を一秒残さず覚えててくれなきゃ、
女子に人気で男子にモテる美少女の私がせっかく付き合ってあげてんのに困る。
面白くない冗談は純愛の裏返しだって、精神面が大人の奴にバレてるのかな。
精一杯の恋心で好きになると、
手を繋いだりキスだけじゃ足りないんだなって、触れ合いは大事なんだなって、
遅ればせながら分かった気がした。
そう、誕生日プレゼントのラッピングを剥がす時のように、
喜びを噛み締めて、はやる感情を抑えて、相手へ謙虚に感謝して、最高の笑みで、
近藤君にワンピースを脱がしてもらいたいなって、誰にも内緒だけどやっと芽生えたんだ。
なんか、こういう新しい発見があるから恋愛って人間に必要なんだなって楽しくなってきて、
『好き。』
と、無意識に口パクで呟いてた。
近藤君になら、近藤君となら、根拠はないけど絶対大丈夫なんだ。
彼氏は嘘をつかないから大丈夫。
『なんか女子高生どもが永遠を信じて愛を知って一生離さないでって思うピュアで甘い出来事が始まるらしいから大丈夫だって。』
やっぱりテキトーな近藤君の発言は正しい。
現役女子高生の私は永遠を信じれそうだし、愛を知れそうだし、
一生離さないでって思えそうだし、ピュアで甘い出来事が始まっても大丈夫そうだなって、
だから、早く愛し方を教えてって夢を見れるようになったんだもん。
優秀な彼女は最新の情報をインストールできた。



