十二月二十四日、クリスマスイヴ。
雪が積もらない程度に降るなら上出来ロマンス、
けれども、うちの地域じゃ難しい話。
十二月二十四日、クリスマスイヴ。
クレヨンをグーで握り、バランスとか精密さとか考えず雰囲気で画用紙へ星を創ったのに、
全部消すべく、真っ黒な絵の具を含ませた筆でおもいっきり一面を塗り潰してしまうと、
魔法みたく闇に負けない強く現れる光たちが輝き出す仕組みのように、
空が澄んだ今夜は、オシャレマジックか、
たくさんのホログラムで乙女度が高いネイルに似ている一年間でそこそこ幻想的な日。
文化祭の劇でクラスメートにより幕が左右に開いた際、背筋に意識が改まる感覚ばりに、
もうすぐクリスマスの部屋は彼氏によりカーテンが放たれると推測すれば、
今は貴重な一瞬なんだなって、全神経が恋に没頭する。
月が綺麗な秘訣は、心に誰を主演させ、どんな台本を書くかだ。
高級ワインは未成年らしく飲まないし、薔薇の花束は枯らす自信しかないし、
サプライズは胸キュンどころか不気味だし、甘い言の葉はドン引きする、
そんな近藤君と私オリジナルの聖夜を、どう説けば正しいのかな?
誰かといちいち比べて自分の財産を確認するのは間違ってるけど、
私たちらしい付き合い方は皆みたいなキラキラ青春ストーリーじゃなくて、
杜撰で貧相なネタ重視の非純愛ってやつだ。



