皆が慕う典型的なイケメンの市井より、
あえて二番手止まりの近藤君におさまることで、
ミーハーと違い芯がしっかりしてると私の好感度を上げるべく彼氏に選んだだけだ。
仮に近藤君が髪とか服とか雰囲気、学年周りの評判がダッサイ奴なら、
同じ性格でも惚れないって話なんだ。
こう白状したら、大丈夫?
近藤君の彼女に正解かな?
嘘ばかり並べる含みを読み取れる聡明な人になりたい。
「あー、また田上さん無視かよウゼェなお前。てか眠いわ俺、このベッドあれか低反発か? ふ、てか俺明日っから冬休みだろ、弟が家に居るとか憂鬱だわ。
だって聞けよ、朝からさ、最近はマラソン飽きたらしく縄跳びしてんだよ。彼の方向性が気になるよ兄は。真面目に」
彼氏のお喋りと同時に無口な私の顎は重心を失う。
目線だけ上にすると、足を見る形で首だけ下に曲げた近藤君と目が合って、
嬉しそうに氷柱みたいな八重歯が覗いた。
ずっと泣いて無言に逃げてた我が儘な私が、ただ見つめるだけで、
どうして喜んでくれるの?
あの唇は私の唇とホッペ、手の甲ぐらいしか知らない。
首筋とか鎖骨、脇腹とか内もも、背中とか膝裏、大人の味を一ミリもなぞれていない。
なのに、
「言ってなかった。メリークリスマスって。うん、メリクリ。海外かぶれの昭和臭いな?」と、
相変わらずお約束の冗談を口にする。
大好きな近藤君をしつこく見つめた。
嬉しくて幸せで泣きたいけど、無理やり笑った。
特別な人の優しさに、もう涙は似合わないって空気は一応読める。



