星空刺繍


世の中の女の子に聞いてみたい。

怖くない?
知らない人みたいな顔をした彼氏を前に不安になった私は目が悪いのかな。


胸が貧相だと嫌われたらどうしようとか、全然良くなくて見限られたらどうしようとか、

変な声だと引かれたらどうしようとか、

チャックを下げられる瞬間にたくさん考えたら怖くなった。


ううん、嘘。
単純にすることが怖くて堪らなかった。
みんな勇気があるなと感心してしまう。

今の関係が変わるのが怖くて、準備なんて終わっていなかったのだと知る。


あの瞬間、人を恐れるという初めての感情に戸惑うしかできなかった。


嫌な女だ。
好きな人が怖いだなんて、乙女心は果てしなく薄情だ。


遅いのが嫌だとか、興味があったとか、それで越えられる勇気なんかチキンな私にはない。

好きな男の子に肌を晒すなんて考えられない。


今だって、本当は怖い。
ベッドの上で密着している状況は怖い。


「なんか知らない布団で寝転ぶとかさー修学旅行みたいだな今。つか田上さん重力でホッペたるんで不細工で引くわ、ブルドック、おかめ」


クリスマスにさえ近藤君をお喋りにさせ、気を遣わせる自分が嫌になった。

うだうだ往生際悪く駄々をこねる自分が嫌だった。

でも、彼氏に構ってもらえる自分であれたことは嬉しかった。


近藤君を好きなのに、どうして私はまだしたくないんだろう?

恋の神様に要領よく願うなら、背中に触れた手の感覚は、まだまだ遥か先が良い。