私には秘密がたくさんある。
家族や友達、クラスメート、彼氏や先生、親しい誰にも内緒なんだけど、
例えば、『ナントカちゃんだから相談したい』と、
アツイ絆で結ばれた友情を、なんとも便利な免罪符にしたがるクラスメートの子が、
親友を切り札にぶっちゃけたり本音を打ち明けたりする時に、
『こんな深い話ができるなんてアタシ信頼されてるんだ』と感動するとか、
『アタシも役に立ちたい』と共感するとか、女子高生らしいハートは無理で、
皆と違って友愛に冷たい私は、
悩み事がワガママな愚痴や幼稚な不満に聞こえてしまい、
『こいつガキかよ』『聞くだけ損』って、半笑いで引いちゃうんだ。
オチがない話のメリットは何なのかな?
しかも、『最近ストレス溜まる』だとか『常識的にありえなくない?』だとかを、
誰かに話したい心境になれない。
だって、それって、自分の器が狭いのを皆に公開してるもんで、
普通に恥ずかしいでしょ。
可愛い私はプライドが高いから、陰口ガールになって自分の評判を安易に落としたくないし、
ナルシストだから、世界が狭い奴みたく小さなことにイライラしない寛大な大人でありたいんだ。
表裏ある性格が悪いのは知ってるけど、二面性さがなきゃ、
きっと近藤君に好かれてない。
素直で頑張り屋で、おっちょこちょいな彼女より、
厭味で計算高く、自己チューな彼女を選んだ彼氏は、見る目があって世界一立派だ。



