ねえ、私的には知られたくないんだけど、
涙の理由が変わってしまっていることくらい、
勉強はそこそこだけど、頭の回転がはやく尚且つ心性の優れた近藤君には薄々バレているんだと思う。
『まだ待って』と我が儘に拒んだなら、怒ったり謝ったり慌てたり怯んだりせずに、
彼氏は一人で笑ってくれた。
今からでも彼女を無理矢理襲うなり、彼女を説得させ抱くなり、
彼女をどうしようと彼氏の自由なのに、
私がお嫁さんになりたい人は勝手に微動だにしなくて、
たくさんの事柄を組み立てたら、答えは一つなんだ。
クリスマスなのに近藤君がいつもの近藤君のままなのは、私を好きなせいだって厭でも分かってしまうでしょう?
余裕で服を脱がせられる状況で手を出されなかったことに、
嬉しくて幸せで泣いてしまう私を許してほしい。
「重てって、お姫様どけ、俺下敷きじゃん、可哀相だよ俺、ほんとに」
だらだら話しを止めない近藤君だって同じだ。
さっきまでは私を遠回しに慰めるために、ぺらぺら独り言を呟いてたけれど、
今は彼女にドキドキしている癖に、
好きだからそれをごまかすために唇を動かしている訳で、
なんだか彼氏と彼女、どっちも似ているんだなって笑えた。
でも、私より近藤君の方が夢みがちで田上結衣に幻想を持つ馬鹿だから知らない。
だって今日、私はやっぱりそれなりの覚悟はしてきた。
そこのところ、彼女を恋愛に一途なピュアガールだと過大評価する近藤君は、絶対に気づいていない。
だって――――



