十二月二十四日は終業式で、午前までしか学校がないから、
高校二年生の彼氏彼女は、その後どこで何をしたらいいのやら。
一年生の時は同じクラスの里緒菜と私服でカラオケに行ってそのままオールで、
帰宅した二十五日は家でお化粧したまま爆睡したら、呆気なくクリスマスというめでたい行事が終わっていた。
中学の頃は妄想しかなかったから、ホテル最上階のオシャレなお店で夜景を眺めながらプレゼント交換をして――
なんて、夢みたいなことを考えてはいたけど、
いざ自分のことになると、それは社会人かせいぜい女子大生がしっくりくるシチュエーションで、
高校生のリアルだと、どんな聖夜が望ましいのか、なかなかノープランだった。
というか、私はそういう洒落た祝い方は苦手だったから、
彼氏・近藤君とどんな風に過ごせば良いのか想像できなかった。
なんだか夢みたいな感じで、本当に真剣にクリスマスと向き合えない。
けれど、不思議と甘い一日になることは分かっていた。
だって女子高生だから。
普通に分かってる。
絶対多分きっと必ず彼氏が彼女を幸せにして、二人は笑顔になるのだと分かってる。
未来が分かってる癖に戸惑ってしまう自分の本心はよく分からない。
【ロマンチックに頑張ってみれば!】は、里緒菜からで、
【甘いウザイ報告待ってる】は、愛美からで、
私の赤裸々な事情を熟知している友達のメールを読んで、
「……はあ、」と、寒空の下、深いため息を吐く暇人が近藤君の彼女だ。



