星空刺繍


普段から近藤君はクラスの男子みたいにがっついてこないけど、

当たり前に彼らと同い年な訳で、

私が暗にそういう環境を遠ざけているのを察してくれて、

辛抱してくれていただけなんだ。

彼氏の大人力に甘えて、最低な彼女は何も努力をしなかった。


クリスマスなのに、近藤君の期待を見事に裏切ったのが、往生際の悪い私っていう女だ。


謝れない代わりに、どんどん強く抱きしめて、それでも足りなくて、

近藤君の胸に自分の顔をもっと押し付けた。

彼氏の服がファンデーションで汚れた分が、彼女の罪悪感と感謝の印。


ねえ、いちいちストレートにリアルを言葉にしなくていいんじゃないかな。

含みとか背景とか、無音でも瞳の輝きや唇のゆるみ具合、

足の幅や肩の高さ、新しい香水や靴の傷、色付く雰囲気やいつもの仕種、

そういう事柄で、相手の文章を読み取れたら幸せなんじゃないかな。


私は近藤君が好き。
私は近藤君と離れたくない。
私は近藤君が彼氏がいい。
私は近藤洋平が必要だ。

甘ったるい想いは、きっと唇に乗せない方が意外とオシャレだから、

やまとなでしこ、奥ゆかしく風流にいこう。