そして、これが一番の収穫だった。
押し倒していながら説得力に欠けるんだけど、
本当は田上さんがまだしたくないのは、なんとなく今日一日一緒に居る中で感づいていたんだ。
そんななのに、一生懸命嫌われないように好かれるようにと、
俺に合わせようと頑張って変なキスをしてくれたし、
頑張って変な足取りでベッドに乗ってくれた。
それだけで嬉しい。その心意気が嬉しい。
それこそが幸せだと知ったんだ。
そんでもって、軽いオンナじゃなかったことは決定的にこの先ずっと喜べる。
焦って彼氏の言う通りにしたり、興味本位で彼氏に任せたり、
快楽目当てで彼氏に委ねたり、嫌なのに彼氏に遠慮したり、
そんな性格の彼女じゃなかったことに、勝手だがめちゃくちゃ好感度が上がった。
今だって泣いているのは、俺に悪いと思っているせいだ。
全部全部、俺のため。
お化粧も髪もダイエットも服も香水も、可愛くなろうとするのは俺のためだ。
努力したくなる程に好かれている自分という存在が愛おしくなる。
だったら、そんな健気なガールフレンドにはどんなボーイフレンドがお似合いなんだ?
「織り姫さま、泣いたら瞼が腫れて今より激しくブスになるよ?」
どんな顔で俺を見ればいいか困って泣くしかない田上さんに、最大限の愛を伝えてみたら、
クリスマスツリーのてっぺんが、キラリと光った気がした。