「孫の代まで、来世まで、謝り倒すわ俺」
優しくそっと抱きしめて慰めるパターンが一番イケメン高校生だと分かっているのに、
俺ときたら、もうダサさマックスで独り言を続けている。
七分前、田上さんがしたくないと泣いた。
本当はこれで良かったと思っている。
勢いをなくした男子と泣き声を噛み殺す女子――今のこの感じこそが、雑な純愛の正解なんじゃないかな。
顔しか取り柄がない彼女が、どれだけ自分にとって大事かがよく分かったんだ。
当たり前にしたいけど、それより何より涙を流されたら付き合ってる意味がない。
つまり、俺は快楽より快活を優先させたい恋愛をきちんと手に入れているんだと今回の件で確証がとれた。
しとやかな夜に新しい表情を見せる色っぽい田上さんよりも、
昼間に公園の鉢を持ち上げて見つけたミミズを投げて、
いちいち面白がる小学生みたいなやりとりでウケてくれるアホな田上さんが大好きなんだ。
それが拒まれてしっかり分かったから、男子的に大失敗なクリスマスは三流的に大満足だ。
建前や強がりや言い訳じゃなく、絶対そこそこ必ず多分本当にきっと本心だ。